結婚や妊娠は、自分の夢を叶えてからーー。
ずっとそう思って生きてきた。
だけど、結婚してから、求めていたものはここにあったのかもしれないと感じた。安心して目を覚まし、眠れる場所。ありのままの自分でいられる幸せ。受け止めてくれる人の存在。
揺らがない愛情が、明日に向かう力をくれることを知った。
そして、妊娠したことで自分以上に守りたいものができた。その気持ちが、見える世界を深く尊いものに変えた。
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たしかに結婚や妊娠によって変わったことはたくさんあるけど、だからこそ、気づいたことがたくさんある。
本当に自分にとって必要なこと、叶えたいこと、誰かのためにやっていたこと、手放せなくなっていた迷いや焦り。
結婚や妊娠は、自分の夢を叶えてからーー。
頑なにそう思っていたのは、そこに自分の求めていたものがないと思っていたから。
でも、そもそも私は夢になにを求めていたのか。
妊娠を経験したことで、その答えに気づいた。自分の産まれた意味を、形にしたかったのかもしれない。
小さい頃から、居場所や自分の存在意義について考えていて、気づけば音楽や言葉がその代名詞になっていた。だから、夢に向かうことが、生きている意味とイコールだった。
でも、結婚生活や妊娠という経験を通して、その考えは少しずつ形を変えていった。
何もなくたって、存在する意味はある。生きている意味はある。夢は人生を豊かにするものではあるけれど、すべてではない。
探していた答えは、一番遠ざけていた場所にあった。
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誰かにとっては当たり前のことかもしれない。でも、私にとってはとてもあたたかく、嬉しい答えだった。
知らず知らずのうちに
“こうでなくちゃいけない”
と、思っていることは、案外そうでもないのかもしれない。
流れ着いた場所で何を感じられるのか、どんな自分に会えるのか、その時々で大切なものを見つけられたら、それはとても幸せなことなんじゃないかと思う。