目的を決めずに家を出るのが苦手だ。
買うものや行き先をあらかじめリストアップしてからでないと、準備が終わっていてもなかなか外に出られない。考えすぎて、結局出かけるのをやめることもよくある。
出てしまえば、歩くしかないとわかっているのだけど、無駄足を踏みたくない思いが、その一歩を引き止める。
今日もカフェに行って日用品を買って帰る、それだけなのに、家を出るのに30分以上かかってしまった。
暑いかも。カフェに行ったら疲れてドラッグストアまで行けないかも。ドラッグストアだけ行ってすぐに帰ってこようか。でも…とぐるぐる考えた結果、だいたい最初のルートに戻るのがオチ(笑)
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外に出たら秋の匂いがした。
キンモクセイが香りそうな、高くなった空。傾き始めた太陽の光。やわらかい風と、イヤフォンから流れる軽快な音楽で、街が優しく見える。
こんな風に、今を見つめて過ごせることって実はすごく贅沢なことなんじゃないか。ふと、そう思った。
妊娠するまでのわたしは、いつだって遠くばかり見つめていた。
夢を叶えることを考えすぎたせいで、未来ばかりに思いを馳せて、目の前が、足元が、だんだんと見えなくなっていたのかもしれない。
今日よりも明日、明日よりもその先、それは希望ゆえかもしれないけれど、未来のせいで今がおざなりになってしまうのは、今思えばなんだか本末転倒な気もした。
自分のためにだけじゃ気づけなかった、心から今を大切にすることの意味。
体を休めて、足元を見つめて、今日を大切に過ごす。ゆっくりと流れる時間に癒されていく心と身体に、本当の自分を取り戻す。
生きる根本のようなものに、気付かされる日々。お腹の中で命を育む我が子には、感謝することばかり。
どうか無事に、その姿に会えるように。今日を大切に生きようと思う。